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貴方が傍に居たら

第2章 イソップ・カール


『愛染さん。移動しない?ちょっと面倒で...』

と、廊下を指刺すイソップ先輩。

その指に釣られて廊下を見てると5人くらいの女性がこちらに向かってきてる。きっとファンの人達だ。

ファンにこの光景を見られたら殺されるのでは無いだろうか?逆境には強いタイプの私でも女性の恋の恨みは怖いことくらい分かる。


『こっち。』

と手を引かれて小さな個室に連れてこられた。
髪の束がたくさん積み重ねられてて綺麗とは言い難い個室。
しかし2人分の椅子と小さな机がある。

『僕さ、基本ここで本を読んでるんだ。邪魔されたくなくて。引っ張ってごめんね。』

「大丈夫ですよ、あの方達ってもしかしてファンクラブの?」

『あぁ、その話聞いてるんだね。勝手に作られて勝手に邪魔されて正直好きじゃないんだ。イライ、ナワーブ、ウィリアム、そして君以外とはあまり関わりたくない。』

「え?私ですか?」

『うん。不愉快かな?共通の話題で盛り上がれる人はそういないから楽しくて。』

「私でよければいつでも相手しますよ。」

『そう言ってくれると助かるよ。これからも仲良くして欲しい。』


個室に来て話の続きをし楽しい時間を過ごしたが、イソップ先輩は何せ顔がいい。たまに見せる真剣な顔に思わずときめいてしまう。
一目惚れか?って勘違いしてしまうほどに。

心臓のドキドキが止まらないのを必死に止めようとしてるのにイソップ先輩は追い打ちをかける。
私の頬に手を当て顔を覗き込んできたのだ。


『顔赤いけど暑いかな?大丈夫?』

「大丈夫です!!ちょっとだけ暑いかもしれませんが」

『それ大丈夫って言わないよ。』

クスリッと笑い慣れた手つきで個室の冷房を付けてくれる。
普段からこの部屋を使ってるのようだ。

外も程よく暗くなり帰りの準備をしていると

『まだ時間ある?良かったらカフェに寄らない?僕の好きなカフェがあるんだ。』

と誘われた。

(こ、これはデート!?)

心臓の動きがさっきよりも激しくなり止まらない。


「イソップ先輩が良ければ一緒に行きたいです。」

『良かった。じゃあ行こうか。』


イソップ先輩のオススメのカフェは大学から10分程で一通りの少ない裏路地にあった。
知る人ぞ知る隠れ家のような場所で落ち着くには最適な場所だ。
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