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貴方が傍に居たら

第2章 イソップ・カール


翌日私は図書サークルに参加することを決め、いつも通りトレイシーと大学に来た。


『愛染図書サークルに決めたんか!意外だな。さては気になる人でも?』

「んんんっ、まあ少し話してみたいなって人はいる。」

『ほほお、さてはイソップ先輩だなあ?』


小さく頷くとトレイシーは楽しそうにからかってくるので私は適当にあしらうことにします。

納棺物語なんてマイナーの中のマイナーだからまさか知ってる人がいるなんて思わなかった。それもあって少し気になっているのは事実。

授業を終えサークルの行われる図書2号室にお邪魔する。
図書サークルの学生数は100は超えてるらしいが、ほぼイソップ先輩の事が好きな女性ばかりらしく実際参加してるのは私含め10人ほどだそうだ。

図書サークルは好きな本を読み感想を書き、その感想集を出す、または自分で小説を作成するというサークルだ。

機械も好きだが幼少期は友達も居なかったため読書してるしか無かった。
それもあって本には非常に興味があるし好きだ。


説明が終わり何を読もうか図書室を歩いているとイソップ先輩の姿が見えた。挨拶しようか考えたがファンに囲まれてるようだったので私はその場を去ることにした。

(納棺物語を書いた作家の別の作品でも読もうかな)

この図書室は親切なことに作者ごとに分けられてるため選ぶのも簡単で迷うことも無く本を選んだ。

さっそく席につき本を読む。


『愛染さん。ねえ、愛染さん?』


私は本に没頭していたのか、声の主に気付くのも遅かった。
隣を振り向くとそこに居たのは

イソップ先輩だ。


『凄く本に没頭してたみたいだね。』

「イソップ先輩!気付いたら本に夢中になってました。すみません。」

『大丈夫だよ。図書サークルに入ったんだね。』

「はい、元々本は好きですから。」

『愛染さんが来てくれたのがとても嬉しい。その作者好きな人というか知ってる人も居ないから、この前君がこの作者の棚にいた時から気になってたんだ。』

「やっぱりあまり知ってる人居ないですよね。」


イソップさんと共通の話題もあり話は弾む。
たまに見せる笑顔が綺麗で女性は誰しも好きになるのだろうと思った。
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