第12章 「有効期限」
セイヨウカラシナはパスタを
二回作ってもまだ残っていて、
その残った花芽でリヴァイは
ノビルの代わりにネギを使って
パスタを作ってくれた。
『おいしい......けど、
やっぱりちょっとパンチに欠けるね』
ネギは歯ごたえを残して炒めてあったが、
噛んでカリッと弾ける甘味がないのが
ちょっと寂しい。
味は近いものがあったが、
食感はやはり代替品がない。
「前にもタマネギで
試してみたことがあるが、
食感が決定的に違った」
前にってどこでの話だろう。
それは訊けずに飲み込んだ。
『代用品がないからきっと
あんなにおいしいんだよ』
「....それはどうだろうな」
『代用品でも普通に
おいしいからまた今度作ってね』
セイヨウカラシナはまだまだ店を
畳むつもりがなさそうな勢いで
次々花芽を出しているそうだ。
さすが各地で雑草化している
というだけのことはある。
「ベーコンのほう換えて
違う味にしてみるか。
シャケとかツナとかな。」
『あ、面白いかも』
そんな他愛のない話で夕方は過ぎて、
リヴァイはいつものように
夜中にバイトに出かけた。