第11章 「ノビル/セイヨウカラシナ」
蓋をした中華鍋だと、
確かに湯が沸くのは早かった。
煮立つ湯の中にリヴァイが
二人分のパスタを入れて、
多少柔らかくなるまで菜箸で面倒を見る。
その間にさやかがした仕事は
キッチンタイマーをパスタの茹で時間に
合わせることだけだ。十分間。
パスタの面倒を見終えたリヴァイが
手早くベーコンを切り、
空いたコンロにフライパンをかける。
ベーコンを先に炒めて、
出た脂で次に炒めたのはノビルだ。
球根を先に、次いで細長い葉を。
最後に投入されたのは
アク抜きされたセイヨウカラシナ。
片手で何度かフライパンを
返して具を混ぜ合わせ、
隣でぐつぐつ煮立つ中華鍋から
お玉でパスタの茹で汁をすくってかける。
これでパスタのソースは完成らしい。
やがてタイマーの音とともに
茹で上がったパスタを湯切りし、
フライパンに叩き込んで混ぜる。
工程だけを見ると、
手際のいいリヴァイが処理するだけに
大雑把に見えるスピード料理だったが、
皿に盛り付けると見栄えのする
パスタに早変わりした。