第11章 「ノビル/セイヨウカラシナ」
河川敷には下りず、途中から
舗装が切れる土手の上を歩いていった。
すると、鋸状の切れ目の入った
濃い緑の葉が荒い印象を
与える株が群生していた。
その株から長い茎が
たくさん首を伸ばしている。
まだほとんどがツボミだが、
株によってはもう花が
咲いているものもある。
目に鮮やかな黄色。
『菜の花?』
「惜しいな。
同じアブラナ科ではあるがな」
リヴァイは例によって花を撮り始めた。
咲いた状態の株からツボミの状態まで
アングルを変えて数回シャッターを切る。
「遠景は次来たときのほうが画になるか」
呟きながらしゃがみ込み、
根元の株の様子も撮る。
『菜の花じゃなかったら何なの?』
リヴァイの撮影が終わるのを
待ってから尋ねると、
リヴァイは返事を
忘れていたことを思い出したようだ。
「セイヨウカラシナ。帰化植物だな。
こんな風に河原とかで、
雑草化してんのはアブラナじゃなく
セイヨウカラシナだと思っていい」
『これ、獲物?』
「ああ、獲物の一つだ。
開いてないツボミを摘め。
少しアクは強いが、
菜の花と似たように使えるからな」
『あ、菜の花好き。おひたし?』
「それは晩飯の
お楽しみってやつだな」
リヴァイの料理は確かに
お楽しみに値する。