第4章 「ヘクソカズラ」
ロゼット。
小学校のころに理科の授業で聞いた。
冬場に植物が少しでも
日光に当たれるように、
地べたにぺたりと葉を
寝かせて生える形状だ。
冬の間は茎も伸ばさない。
『あっ、やだコイツ
さっそく生えてる〜!』
さやかはフェンスに
巻きついて背丈を伸ばし始めている
つる草を睨んだ。
『リヴァイ、それ抜いて抜いて!』
「あ?これか?」
『そいつ一番キライなの!
フェンスに絡むから
ちょっと伸びても取るのが大変だし
手がすごく臭くなるんだもん』
「そりゃ名前からして
ヘクソカズラだ。当たり前だ。」
『ヘクソカズラぁ?!』
思わず大声を上げたさやかに
リヴァイは相変わらず
眉間にシワをよせ、続けた。
「てめぇ...びっくりしたじゃねぇか...
屁糞みてえに
悪臭を放つからヘクソカズラだ」
『道理で臭いと思ったよ......
小さいうちに抜いちゃて抜いちゃて』
「まあ待て。その様子だと
第二フェーズを知らねえんだな」
『......何よ、第二フェーズって』
「伸びきるまではただのつる草だが、
花が咲く段階になると
意外な進化を遂げる。
一本だけ残すのはどうだ」
意外な第二フェーズ。
その煽り文句に釣られた。
何だかんだこの同居人は、
さやかを釣るのがうまい。
『じゃあ......
部屋から一番遠いい一本だけ』