第17章 「増えた鍵」
その日の夕食のおかずは
大根と豚バラの煮付け、
そしてもやしの和え物だった。
味噌汁の具は
ワカメともやし、和え物で
使ったもやしが余ったのだろう。
煮付けは相変わらず薄味だが
しっかりダシを含んだいい味で
ごはんが進むし、和え物は......
『あ、びっくりした』
色が黄色かったので
からし和えかと思ったら、
カレー味だった。
「どうだ?」
『おいしいけど意外。炒め物?』
「サラダだな。お湯に
カレー粉を入れて湯がいただけだ」
『それだけで
こんなにおいしくなるんだ』
「それだけだからこそ、だな」
おいしいと連呼すると、リヴァイは
「ならいい」
と満足そうだ。
「残ったもやし、どうする。
酢の物にでもするか」
『え、もう一回これでいいよ』
「さやか酢の物
あんまり好きじゃないな」
リヴァイが苦笑しながら指摘する。
確かに酢のすっぱさは苦手だ。
決まり悪くうつむくと、
リヴァイは妥協案を出した。
「ごま油と酢で中華風ならどうだ?」
『あ、それなら』
手打ちになってからリヴァイは
「さやかは味覚がガキみてえだな」
とからかうように笑った。