第16章 「春の野花 - タンポポ、イヌガラシ、スカシタゴボウ」
「図鑑買ってくるくらい
楽しんでくれてんだなと
思って嬉しかったがな。
しかも二冊もだ。」
『いやっ、なんで?!』
さやかは悲鳴を上げて
箸を取り落とした。
リヴァイはそんな
さやかを悪戯っ子のように
ニヤリと眺めている。
「今週天気が良かったから布団を干した。
俺はハウスキーパーだからな?」
『いやーーーーーーーーッ!!!』
恥ずかしい!
こうなると
隠してあったことが恥ずかしい!
付け焼き刃の知識を
嬉々として喋っていたことも!
「コメツブメクサは惜しかったな。
覚えたこと喋りたくて
たまらなかったんだな、
ニヤつくの
抑えるのに精一杯だ。
タンポポやシロツメクサが
食用になるっていうのも
覚えたてで話したいの見え見えだ」
『やめてぇぇっ!』
だから自分で絶対分かるもの
以外は手を出すなという
注意が今日出たのだろう。
顔から火が出る。
「敷き布団の下なんて中坊の
エロ本の隠し場所じゃねえか。」
『仕方ないでしょ、エロ本なんか
隠したことないんだから!!』
「恥ずかしがることねえだろ。
俺は嬉しかったがな。
あの手の図鑑は値が張るしな、
本当に興味がないと
二冊一気には買えねえぞ」
『もうやだぁっ!!!』
席を立って寝室に
逃げ込もうとすると
腕を掴んで引き戻された。