第15章 「術中にはまる」
『けっこう楽しいかも。』
気がつくとリヴァイがバイトに
出かけて二時間近く経っていた。
もう日付が変わっている。
『やば、早く寝ないと』
寝る段になって図鑑を
どこにしまうか悩んだ。
図鑑を買ってきたことは
リヴァイにバレてほしくない。
まんまとハマっている
自分がちょっと悔しい。
本棚があればその中にでも
混ぜてしまえばいいのだろうが、
あまり本を読むのは習慣のない
さやかは本棚を持っていない。
整理棚代わりに使っている
カラーボックスの一部に少し
ハードカバーや文庫、漫画本があるだけ。
ここに二冊も
ポケット図鑑が増えたら目立つ。
『ええい!!ここだ!!!!』
さやかはベッドのマットレスと
敷布団の間に図鑑を挟み、
敷布団を均してから
電気を消した。
それから週末まで、
リヴァイを見送ってから寝る前に
図鑑を眺める毎日だった。