第14章 「ハッタリ」
河原に色が溢れ始めた。
花の季節だ。
河川敷に下りる前、
下り口の上からもう
鮮やかな色彩が目に溢れる。
赤、青、黄、白、
ひとつひとつはささやかだが、
それらの色が一斉に咲き誇っていると
遠目には美しい一枚の絵のようだ。
冬が長引く年だったので、
寒さが緩んだ途端に
待ちかまえていたように
花びらを広げたのかもしれない。
『すごいね、お花の絨毯みたい』
「ほう...絨毯か、悪くない」
言いつつリヴァイが肩に掛けていた
カメラを持ち、河川敷を
見下ろす角度でシャッターを切った。
「...ワイルドフラワーカーペット」
『ねえ、いっつも写真撮ってるけど
データってどうしてるの?』
さやかは写真に詳しくないが、
デジカメの記憶媒体とは
そんなにたくさんの写真を
記録できるものなのだろうか。
「一般的な画質ならメモリひとつで
千枚近くは記録できるぞ。
俺は高画質で撮ってるから
パソコンに取り込んでるがな」
『パソコンなんか持ってたの?!』
「データ取り込む用だがな」
リヴァイの荷物を探るなんて、
そんな泥棒猫のような
真似をしたことはない。
しかし......