第1章 恋して、ヴァンプ
「もぉぉっっ、しんっじらんないっっっ!」
ザクッとレバニラ定食をお箸でぶっさしながら。
目の前で優雅にハンバーグを食べる友人、未琴へと向けた鋭い視線。
「レバニラ、好きだね凛」
「好きで食べてんじゃないわよっっ」
「?」
翔琉がっ。
あのエロ馬鹿大魔人がところ構わず人の血を欲しがるからっ。
こっちは貧血だっつーのっっ!!
「また、ケンカー?今度は何よ?人前でキスした?愛の告白でもされた?それともランチしたかった?」
「……何その、惚気」
「あんたたちがいっつもケンカしてる内容だよ、凛」
「………」
ケンカの理由?
言えるわけないじゃない。
だいたい、誰が信じるわけ。
こんなの。
あたしだって当事者じゃなければ信じないわ。
翔琉が。
大好きな、彼氏が。
ヴァンパイア、なんて。