【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第98章 しばしの別れ
「結構前からさ、倒れそうなアンちゃんの様子を見てみんなではなしてたのよー。このままここにいて離れてると、アンちゃんが弱って死ぬんじゃねェかって」
「そう、だから。いっていいよ」
「俺たちがこの船と親父はまもるからさ」
部屋の扉からひょっこりと姿を現したのは隊長たち。
「僕がいれば、この船は絶対安全だから」
「吾輩もいる」
「俺も」
みんなが口々に心配するなと声をかけてくれている。
「なっ?みんな心配してたんだぜ?」
『っ…みんな、ありがとう』
正直、エースの戦争の時のような心配がぬぐえない。気持ちが常にざわざわしていて落ち着かない。
『ほんとに行っていいのかな』
「行けよ!!アン」
『エース…』
「マルコはどうでもいいけど、ルフィに何かあるかもしんねェ。俺たちはあの戦争でルフィに一応!!助けられた。だから、あいつが誰かの力を欲しているなら、助けを求めているなら、俺たち兄弟が行ってもいいんじゃねェか?」
エースが珍しく真剣に話すもんだから、周りでクスクス笑っている声が聞こえる。
「なんだよ!!」
「エースも大人になったなァなんて考えてる」
「ほんと、自分勝手にしか動かなかったのに」
「うるせェ!!」
「ね、アンちゃん、行っていいんだよ」
『みんな…ありがとう…』
ぽろぽろと流れ出す涙に慌てふためく兄弟たち。
「ちょっとお待ちになって!!」
「ナース長!!」
「アンちゃんはまだ体調が前回じゃないのに一人では行かせるのは許可できませんわ!!」
「そりゃそうか…」
「俺が行く!!」
『エース…』
「俺はワの国に行ったこともあるし、会いたいやつもいる」
『そっちがメインじゃん』
「まあ、エース隊長は人のことに鈍感ですが、アンちゃんのお兄さんですし、強いから大丈夫ですわね」
「ニシシっ!!」
『エースがいなくなったら大変なんじゃない?』
「むしろいない方が静かでいいよ」
「食料も馬鹿みたいに減らないし」
「船は燃えないし」
「仕事をさぼるやつもいないからな」
『不満ありすぎでしょ』
「ひでェ…」
「ま!そういうことだから安心していってきなよ」
サッチはポンと肩をたたいてくれた。みんなのその言葉にやっと決心がついた。
『私行ってくるよ』
「くれぐれも無理しないように!!無理しないように!!」