【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第93章 ※はじめて※
Marco side
気持ちがわかった以上夕陽を見るだけなんて腰抜けな真似は流石にしないなんて思って少し味見をしただけのつもりだった。思っていたより果実は甘く熟れていて一口齧ってしまえばそれ以上進まないなんてできない。この状況で
『もう…我慢しなくていいよ』
なんて一言を言われてしまえば、俺のタガが外れるのだっておかしい話じゃないよい。甲板に帰ってきたやつらがいることから海岸での騒ぎは終わったんだろう、こんな格好で流石に下に降りるわけにも行かないか…と考えた結果
「ちょっと待ってろい」
そう言って俺は下に降りて部屋から自分の服とアンの服を一式カバンに詰めて部屋を出た。
「あ、マルコ隊長!どこか行かれるんですか?」
「あァ、野暮用だよい。明日の出港までに戻るって隊長らに言っとけよい」
「は、はい!!」
バサっと半獣化をすると待たせていたアンのところに向かった。
『マルコ…どこ行ってたの…』
「行くよい、つかまってろい」
その一言だけ言うとアンは素直に抱きつくようにつかまってきた。そしてアンを抱き抱えるようにして船から飛び去った。下からキャーキャーと喚くナースの声や、メラメラ燃えてる炎、それを止める隊長連中が見えたが無視だ無視。
「マルコォ、無理させんなよォォ」
グララララとでかい笑い声に乗せて聞こえた親父の声に「よい」と簡単に返事して俺は島にある宿に向かった。
宿に着くと早々に金をカウンターにガシャンと乱暴において「2人で1番いい部屋を貸してくれ」と言った。宿の主人はすぐに準備しますと早々に立ち去っていき数分で戻ってきた。
「最上階のスイートルームをどうぞ」
「ありがとよい」
鍵を受け取るとえ?え?と慌てているアンを抱き抱えて最上階に向かった。がちゃんと鍵を開け室内に入ると抱えていたアンに少し乱雑にキスをした
『ん…っま…ッマルコ!』
「あァ…悪いねい」
息継ぎがうまくできなかったんだろう、ハァハァと息を荒げながら俺の胸板を押してくるアンに少し冷静さが戻ってきた。
「気持ちが焦っちまったよい、すまねェない」
『うん』
「今日は優しくするよい」
そういって何度目かわからない優しいキスをした。
よろしくお願いしますなんて言ってくるアンに愛おしさが増した。