第72章 三つ巴

Side.Ace

突然前に現れたドレス姿の女はアンだったことに驚いて、自分の試合を忘れるところだった。

「あっぶねェ！！」

俺が外に出た時には全選手がリングに集まっていた。

「殺気だってやがるな、どいつも…」

［さァ！！そうこうしてる内に出揃った！！Dブロックは1名棄権により138名！！強豪達のバトルロイヤル！！いよいよ開戦のゴングー！！！］

カァンと大きな音が鳴り一気にみんなが暴れ出した。どうやら、大半の狙いは女の剣士のようでみんながそっちに向かって潰しあってくれる。

「お前もさっさとくたばれー！！！」

ザコい言葉を言いながら、突っ込んでくるやつを容赦なくリング外へ叩き落とす！！

「ハッ！こんなのマルコ達に比べりゃ屁の河童だ！！」

そういうと、一年半前にあった合宿という名の強化訓練を思い出し少し吐き気がした。

「汚ねェぞ！！レベッカ！！」
「戦えッ！！」
「戦って血を流せー！！」

客席からは女に対するブーイングの嵐が起こっていた。

「力が使えたら、みんなを黙らせる熱風を起こせるのによォ」
「何言ってやがんだ！！」
「よっと…」

避けるだけで勝手に落ちていく奴らはもっかい鍛え直したほうがいいと思うぜ。

［レベッカと手を組んだアキリアが猛威をふるう！！そして、何故か勝ち残っているスペード！！その身のこなしはまるで猿ようだー！！］
「猿は失礼すぎだろッ！！」
「うがっ！！」
「くそ、キリがねェ」

だが、確実に少なくなっていっている選手達に希望の道が見えてきた。

［スレイマンが行ったァ〜！！ディアス海戦の英雄は今や戦犯として国を追われ！！闇の世界を渡り歩く恐怖の“人斬り”に！！その構えまるで生気のない亡霊の如し！］
「あと…ざっと30人ってところかな。っおりゃ！！」

雑魚を一人ずつ倒していくとやはり残るのはかなりの猛者。

「こりゃ…まだかかりそうだ。」

そう思って瞬間に走る殺気…そしてあまりのスピードではっきりとは確認できなかったが剣が残っていた選手に走っていった。

「っ武装色！！」

キィンとなる音、そしてさっていく何か。砂煙が上がり前が見えねェ。シンとした空気…殺気がなくなり砂埃も消えていった。

［何が起きたァ！！？何と全員倒れてしまったァ！！Dブロックを生き残った強豪達が…！！最後に誰も立っていない！！］