【ONE PIECE】サキエルがほほ笑むのは...
第60章 遅れたが…
宴もかなり盛り上がっているようで、いろんなところから歓声が上がって楽しそうだった。
「アンちゃん、私たち船に戻るけど?」
「まだここにいる?」
『んー、もう少し飲んでから帰ります。あ、でもお姉様たち大丈夫ですか?あれなら、送りますけど。』
「あら、大丈夫よ。ナミュール隊長やブランハム隊長、船長さんたちと戻るから。」
その言葉を聞いた時、“もうそんな時間か。”と思った。たしかに周りを見渡せば綺麗な格好をした女の人たちが先に混ざってきている。
「そうよ、彼女たちが入ってきてるからアンちゃんも早く戻りましょう?」
『ん、あと一杯だけ。飲んだら戻るわ』
「そう?気をつけて帰ってきてね」
陸の宴は二部に分かれている。先にする親父、ナースを含め全員で行う宴、そして、時間をおいて二部目に入ると娼婦が混ざりそう言う雰囲気の店と同じような感じになる。もちろん、喜ぶものもいれば、そう言うのが苦手な人たちは店を移ったり、船に戻ったりする。
『ブルームーンをお願いします』
「はい、かしこまりました」
カウンターに座ってバーテンダーにカクテルを頼む。
「どうぞ、ブルームーンです。」
青い海のような綺麗なカクテルがグラスに注がれて目の前に置かれた。
「洒落た酒飲んでるのな、アンちゃん。」
『え? サッチ…女の人は?』
「いや、それが今回俺の好みの子いなくてさ、他の店行こうかと思っててよ。」
『へぇ〜、ストライクゾーン広いのかと思ってたけど。』
「あら、そんなふうに見えてた?意外と好みあるのよ?俺も」
カラカラと笑う彼は酒が相当入っているように見える。
『ふーん…』
「エースはお持ち帰りするみたいだぜ?」
目線を向けると、なかなかの美人がエースと外に出て行った。
『兄の性事情は見たくなかったなー。』
「そんなことより…お兄さんにちょっと付き合ってくんね?」
『え?』
サッチに手を引かれたので、カクテルをグッと飲み干して“ご馳走様”と声をかけると店の外に出た。外はすごく涼しくて、さっきまでの熱気も一気に覚めて行った。
『どこに向かってるの?』
「んー、海」
『え?』
モビーとはまた違う方向に進んでいくサッチは予想外の言葉に驚きを隠せなかった。
『なんでまた海?』
「2人きりになるにはちょうどいいだろ?こっちに砂浜があるんだって」