第55章 ☆
『分かってはいたけど·····1人って寂しいわね』
リサとリヴァイが地上から帰ってきて数日。平和な環境からまた地下の黒い渦の世界へと戻ってきてすぐに、リヴァイたちは仕事かがあるからとアジトを空ける。
リヴァイの仕事はリサは手伝えないので、いつも通り部屋を綺麗にしたり食事の用意をする。といっても、毎日綺麗にしていれば掃除する箇所も限られてくるわけで汚れもサッとひと拭き。
テーブルに肘を立て顎を乗せながら、彼等が帰ってきたことを知らせる立体機動装置の音をまだかと待ちわびた。
『·····リサ。おい、ここで寝るな』
『ふぇ·····?あっ·····!!お、おかえりなさい!!こ、ごめんなさい·····皆さんがお仕事してるのに寝てしまってました』
クスクスと笑うファーランにリサは涎が出ていないかと口を手の甲で拭う。
うん、大丈夫。
『構わねぇ。リサ、今日誰か来なかったか?』
『·····お客さん?いえ、来てないです。あ、でも私寝てしまってたのでもしかしたらその時に·····』
『そうか。それならいい』
わしゃっとリサの頭を撫でると、リヴァイは外套を外し椅子にかける。立体機動装置は少し汚れていて後で綺麗に拭こうとリサは自分の頭の中にメモをした。
『リサ、悪いがこれからもっと忙しくなるぞ。大きな仕事が入りそうだ』
『そうそう!どこかのお偉いさんが俺たちと接触したいんだとよ』
『そしたらさ!すんげぇ金が入るよな!』
3人はそう言ってそれぞれの椅子に腰をかけだしたので、リサは食事の用意をしようと少し寝ぼけていた頭を叩き起す。
『それだけならいいが、ほかの仲間から聞いたがどこかの兵団が俺たちに目をつけているらしい』
『え?リヴァイさん、それって憲兵じゃないんですか?』
『ゴロツキ集団相手なら普通は憲兵だろうな。それだけなら大して問題でもねぇ』
リサは頭に疑問符を付けながらスープを注ぐ。今日は芋をすり潰してよく煮込みとろみを出したスープ。言い様に言えば素材を生かした料理だが、やはり芋は芋。
卵でもあればなぁと思うけれども贅沢は出来ない出来ないと首を振る。