第2章 出会い
ある梅雨の日。
「すみません、隣いいですか」
講義が始まるまでまだ時間があり、教室には俺しかいなかった。
そこへ彼女はやってきた。
「どうぞ」
なぜわざわざ俺の隣?と思いながら返事をした。
ペラッ、カリカリ。
教室には俺たちの紙を捲る音、ペンを動かす音だけが響いている。
そして雨が降る音も。
何故か、この静かな空間が心地よかった。
それから、パラパラと人が集まり始め、講義が始まった。
「それじゃあ、今日の講義は終わりー」
教授の声を合図に、一斉にみんなが立ち上がる。
俺は、次の講義がないからノロノロとノートやペンを片付けていた。
「あれ…」
彼女が座っていた席に、ピンクの消しゴムが残っている。
走れば追い付くかな。
「おーい鈴木、このあと遊ばない?」
「ごめん、急いでるから!」
友達の声を振り切って、俺は駆け出した。