• テキストサイズ

笑って

第2章 出会い



ある梅雨の日。

「すみません、隣いいですか」

講義が始まるまでまだ時間があり、教室には俺しかいなかった。

そこへ彼女はやってきた。

「どうぞ」

なぜわざわざ俺の隣?と思いながら返事をした。


ペラッ、カリカリ。
教室には俺たちの紙を捲る音、ペンを動かす音だけが響いている。
そして雨が降る音も。

何故か、この静かな空間が心地よかった。


それから、パラパラと人が集まり始め、講義が始まった。




「それじゃあ、今日の講義は終わりー」

教授の声を合図に、一斉にみんなが立ち上がる。

俺は、次の講義がないからノロノロとノートやペンを片付けていた。


「あれ…」

彼女が座っていた席に、ピンクの消しゴムが残っている。

走れば追い付くかな。

「おーい鈴木、このあと遊ばない?」

「ごめん、急いでるから!」

友達の声を振り切って、俺は駆け出した。

/ 21ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp