第4章 真剣な瞳
「あのっ!」
彼から、突然声を掛けられた。
「はい?」
「えっと、あのこれ!」
勢い良く消しゴムを差し出された。
「これ…私のだ。でもどうして…」
「せっ先週も隣にいたでしょ!帰りに忘れて行ったから渡そうと思ったんだけど、探してもいなくて…。だから今日会えて良かった!
でもけして他意があっての行動ではないから!」
一気に喋りすぎて、彼は肩で息をしていた。
驚いていた私は、次の瞬間吹き出してしまった。
「フッ、アハハハハ」
「へっ?」
「なんでそんなに真剣なの!信じるよ、その話」
「ああ、うん」
「ありがとう、消しゴム拾ってくれて」
笑ってしまったけど、
私は、この時の
彼の真っ直ぐな瞳に
恋をしたんだ…