第4章 真剣な瞳
「あ~あ。今日も雨か。」
その日は憂鬱だった。
「いくら梅雨だからといっても、こんなに何日も続くとな…」
私は駅を足早に通り抜け、キャンパスを目指した。
ガラッ。
教室には、今日も先客がいた。
しかもお気に入りの席に。
彼は、私が来たことに気付かないくらい、真剣に勉強している。
「すみません、隣いいですか」
私は、いくらか落胆しながら聞いた。
「どうぞ」
この声…どこかで聞いたことがある。
どうして?と思いながら、私は準備をした。
ペラッ、カリカリ。
教室には私たちの紙を捲る音、ペンを動かす音だけが響いている。
何故か、この静かな空間が心地よかった。