第3章 【切島、上鳴】あいのけもの【R-18】
5人で始まった不思議な共同生活。それにあたって、ルールを幾つか決めることになった。
「ま、俺等は堅苦しいのは嫌いだし、ルールなんていらないっちゃいらないんだけど。雛姫はそう云ったものがある方が楽なタイプだろうからね」
範太くんの言葉に私は頷く。
「ありがとう」
云うと笑って頭をくしゃりと撫でられた。
「いや、まあ俺もぶっちゃけ物事決められてた方が楽なタイプなのよ」
そう云われて安心する。
みんなが決めたルールはとても簡単なものばかりだった。
光熱費や食費などの生活費は変わらず4人が私の分も含めて出すこと。服やなんかも。
家事は少しずつ憶えていくこと。
料理は勝己が一番上手くて範太くんもそこそこ出来るらしく、そのふたりに教えて貰うと良いと云われた。鋭児郎と電気は? と聞けば眉を寄せて。
「あのクソ髪は肉料理しか作らねぇし、全部味が濃い。アホ面には料理させんな」
と勝己に云われた。
掃除は与えられた自分の部屋とリビングとキッチンを始めとする、共有スペース。分からないものは勝手に処分しないこと。
洗濯は脱衣所の籠に入れたものだけすること。
誰かいたら、出来るだけ一緒にご飯を食べること。
決められたルールはそんな他愛もないことばかりだった。