第2章 after:Sunshine Girl
「にしてもさ…こんなにデカデカとポスターとか飾ってあると、さすがにちょっと気まずい」
「そう?」
顔を上げた彼の視線の先には、翔くんのグッズを集めて並べた…いわゆる推し祭壇。
翔くんが買ってくれたペンギンもちょこんと仲間入りしている。
「大事な宝物だしいつも見ていたいから片付けるつもりはないんだけど。…嫌だったら私の部屋に来るのやめる?」
「それはやだ。やっと今日初めてさくらの部屋に来れたのに」
むう、と不機嫌そうに口を尖らせる翔くんは、年上だとは思えない。
「ふふ、可愛い」
「とっくに成人してる男に言う言葉じゃないでしょ、ソレ」
「女が男性に言う"可愛い"は最上級の褒め言葉だよ?」
「…じゃあ」
「!!」
表情からそれまでの可愛さが消えたと思うのと同時に、少し強引に唇が奪われる。
容易く侵入してきた舌が思う存分に口内を味わい尽くして離れた時には、私はすっかり息が上がってしまっていた。
「…これでも、俺のこと可愛いって言う?」
「っ、ずるい…!」
涙目で睨みつけるけど、あんまり効果はないみたいだ。ちくしょう。
「真っ赤になってる、可愛い。今すぐさくらのこと食べちゃいたいくらいだけど…」
ちらりと祭壇に目をやって、翔くんは正面から私を抱き締め直す。
「自分のキメ顔に見られながらってのは…ちょっとなぁ……」
「それは…えっと…頑張って…?」
「疑問形なんだ…」
自分の顔に負けてる翔くんが、なんだかちょっぴり面白くて。
つまりのところ、あれです。
私は今日も、幸せです。
・ ・ f i n ・ ・