第13章 洛陽での出会い《回想》
今にも落ちてきそうな重い雲
止むことを知らないふり続ける雨
身体にまとわりつく湿気と生臭い匂い
地球人はこの惑星(ほし)に、そう長くとどまれないだろう
巡り巡って辿り着いたこの惑星は、血と雨の匂いがそこかしこに漂っている
雨の降る中、小高い丘の階段に座り、一人傘もささず廃墟の街を見下ろす未来
「お前、よそ者だな。こんなところに何しにきた」
突然背中から声をかけられて、その声の方へ振り向くと、そこには桃色の髪をした少年が番傘をさし立っていた
(気配を全く感じ取れなかった…)
「うーん…。人助け、できたら良いなって」
未来は悩んだ末、ピンときたことを口に出した
「なんだそれ、ただの願望かよ…」
「今はまだそうかな」
「思ってるだけなら、誰でも出来る」
どこか辛そうに最後の言葉まで絞り出すその少年は、下唇を噛み、苛立っているように見えた
「…良かったら、話聞こうか?」
「…は?なんで何も知らないお前なんかに…」
「何も知らない人の方が、話しやすいこともあるかなって」
「……」
間髪入れず言い返されて思わず圧倒されてしまった少年は、自分の傘を未来にグイッと渡した
未来は受け取ると嬉しそうに少年へ笑顔を向ける