第10章 交差するそれぞれの思い.
「……え」
不敵に笑う銀時の横で、沖田は状況が把握出来ていなかった
そこには、息を切らした未来が走って現れた
「ごめん…、お待たせ…っ」
申し訳なさそうな笑顔で目の前の銀時と沖田に謝る
「どうしてアンタがここに…。ターミナルの抗争の方に駆り出されていたはずじゃ…」
「約束、したでしょ。また3人で、蛍見に行こうって」
「……は?」
(なんのことだ…。蛍…?俺ァこいつと約束なんてなにも…)
呼吸を整えた未来は総悟に近づいた
そして総悟の両手をとり掌を眺めながた
「あの川辺でずっと頑張ってたって、ミツバちゃんから前に聞いたことがあるの。約束、忘れずにいてくれたんだね…、総ちゃん」
「……っ」
沖田はようやく思い出した
あの時の"未来ちゃん"と未来がリンクした
そして沖田の掌を見つめるその姿に、昔のミツバの姿が重なる
言葉に詰まっている沖田に間髪入れず未来は言った
「ミツバちゃんの事は私に任せて。総ちゃんは行ってきて」
有無を言わせない真っ直ぐ見つめる瞳
それでいて高圧的でない
そんな未来の手をゆっくり離し、頭を上げた
「姉上を頼みます…」
未来の横を通り過ぎていく沖田からはもう迷いは無かった