第10章 交差するそれぞれの思い.
あれからまた幾月経ったのだろう
大きな入道雲が浮かぶ青い空の下、真選組屯所の門から一台の車が出て行くのを見送り、一人門をくぐるのは沖田総悟の姉 ミツバだった
近藤と総悟は久々に会うミツバを歓迎した
ミツバは貿易商 蔵場当馬と言う人物と結婚するからと江戸に出てきたらしい
久々の姉弟の再会に、江戸の町を案内するようにと近藤は沖田に言い渡した
沖田は一瞬喜んだものの、笑顔を消して近藤を見据えた
「ですが、ターミナルの一件がまだ片付いてねェですぜィ」
「もう鎮圧はしているし、俺もこれから向かうから心配するな。ミツバ殿、慌ただしくて申し訳ない。しばらく江戸にいるならまた顔を出してくれよ」
ニカッと笑う近藤は、武州にいる頃と変わらない笑顔をミツバに見せた