第1章 .瓶詰めの手紙
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扉を小指サイズに隙間ができるくらいに開ける
今思ったけど、扉に鍵はなかったみたいで良かった
『すぐそばには誰もいない...』ボソ
こちらに近づいてくる気配はだいたい3.4人
私がどれくらい抵抗できるのかは分からないけど、師匠とクムユ姉さんに教わったこと
これらをしっかり身に付けられているかどうかが、この場で分かるだろう
『さぁ、かかって来な!!』
廊下、奥の方の曲がり角から出てきた敵へ叫ぶ
少しでも意地張って強気でいないと、恐怖で挫けそうだ
「なにッ!...脱走だと!!」
「いいから取り押さえろッ!」
剣やナイフで向かってくる敵
良かった...銃は持ってないっぽい
『今度はそう簡単に捕まらないよ!』
スカートの下に忍ばせた銃を持ち狙いを定める
人を殺すなんて、私には出来るはずがない...
そんな世界で生きてきた訳では無いから
それを知ってるクムユ姉さんは私に殺さなくてもいいように...
バンッ
「うぁッ!」
足元を狙った
他の2人も同じように
__クムユ「もし相手が飛び道具を持ってなかったら、足を使えなくしちゃえばこっちには届かないでしょ?」
撃つだけでも抵抗はあるが、こんな状態でそんなこと言ってらんない
「脱走者だァ!」
後ろの廊下からも敵が来た…
こんなにも敵がいるなんて
怖い...こわい...帰りたい...
「ウガァッ...」
私が見たのは蹴られて横へ飛んでいく敵の男と、青い炎をまとった男
蹴ったのはきっと青い炎をまとった男だろう
目を奪われた、
だってそれは御伽噺のような、そんな美しさだったから
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