第31章 そしてこれから〜相澤消太〜
慌てるように辿り着いた自分の家の前で階段を駆け上がってきて少し息切れがするのか肩で僅かに息をする消太は落ち着かせるように大きく息を吸い込んで呼吸を整えた
ポケットから取り出した鍵を鍵穴に挿してがチャリと開けるとずっと待ち望んでいた光景があった
「お帰りなさいっ!消太くんっ」
視界に入って来たのは懐かしい顔に懐かしい声
ずっとずっと待ってた
「私もね、さっき着いたんだよ、ほらっパパ達からも沢山お土産あるんだよ〜」
いいながらグイグイと手を引っ張ろうとする姿が可愛くて堪らなくて会えたのが嬉しくてそのままグイっと抱き締めてしまっていた
「えっ?えと 消太くん?そんなにみんなとお別れ寂しかった?」
急に玄関先で抱き締められてビックリした反応がこれだったのだろうアワアワとしている華を見て消太は僅かに笑った
「あぁ、寂しかったよ お前に会えないで」
「えっ!?そっち?」
「当たり前だろう、お前俺を何だと思ってるんだ?」
驚いた様な顔の華に消太は一瞬怪訝そうな顔をする
「いや、消太くんはあんまりストレートに口を開かないイメージが…」
「…ちゃんと言葉にしないと伝わらない事もあるって悟ったんだよ」
フイっと顔を逸しながらボソッと呟く姿に華は今度は自分から抱きついた
「そうね、言葉って大事だなって思った」
「ん?」
ちゃんと言葉にしなかったからこんなにまわり道をしなかったのかもしれない
だけど今までの出来事も決して無駄ではなかったと思いたい
だって今ならちゃんと言葉に出来る
「ただいま消太くん 私、消太くんのお嫁さんさんになりたくて来たの」
〜相澤消太編fin〜