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dearest moment

第17章 それぞれの想い


「くぅ~、萌ちゃんカワイイ!」
「きゃあ!」
「京楽隊長、おふざけが過ぎるとまた七緒にどやされますよ~」

 乱菊が呆れた声で彼を制し、萌に向き直る。

「修兵がね、最近付き合い悪いのよ~。萌ちゃんからも言ってやって」

 唐突に修兵の名が出てどきんと驚く。この面子からして飲み会のことだろう。

「萌ちゃんもたまには顔出してね」
「そうね、萌ちゃんが来れば修兵も来るだろうし。お酒苦手ならご飯だけでも食べに来て!」

 二人の押しの強さにたじろいでいると、後ろから聞き慣れた声がした。

「なーに萌を困らせてるんですか」

 振り向くといつの間にか修兵がやって来ていて、京楽に挨拶し萌にも視線を寄越した。

「あら修兵。どこから湧いたのよ」
「人を害虫みたいに言わないでください」

 いつものように彼等の仲の良い掛け合いが始まり、置いてきぼりにされた気分になる。

「あたしだって萌ちゃんと遊びたいのよ、誘ったっていいでしょ」
「いいですけど酒はやめてやってくださいよ」
「じゃあ萌ちゃん、今度お酒抜きで一緒に出掛けましょ!アタシが色々教えてア・ゲ・ル」

 すると修兵が眉をひそめて不服そうな顔を見せる。

「あんまり変な事吹き込まないで下さい。どこに連れてく気ですか」
「どこだっていいじゃない~、どうせ修兵は入れないトコなんだから」
「……あーそうですか。じゃ俺、仕事あるんでこれで」

 短く告げると、修兵は京楽に頭を下げてさっさと行ってしまう。乱菊への素っ気ない態度に驚いていると。

「へそ曲げちゃって。解り易いわね」

 半ば呆れ気味に乱菊がぼやく。横で京楽もうんうんと頷いている。

「修兵って遊んでる風に見えるでしょう~?案外ウブなのよ」

 内緒話をするように口を寄せて、乱菊が茶目っ気たっぷりに伝えてくる。

「まぁ、気が利くほうだから女子の扱いは上手いけど。女子受けもいいし」
「モテるよねぇ、檜佐木くんは」
「とにかく、萌ちゃんは可愛いからそのままで大丈夫よ」










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