第5章 阿近の暇潰し
間抜けてるとか言われてるよ…せめてお茶目と言ってあげて…
阿近の話をぼんやり聞きながら、萌の脳裏にはまた修兵の顔が浮かんできてしまっていた。
それよりさっきの、勿体ないっていうのはどう捉えれば…?
「それとも他に気になる奴がいるのか?」
「もしいたとしても、内緒です」
適当にかわしつつもその質問に内心どきっとしてしまう。じっとこちらを見つめていた阿近だが、吸い殻をシャーレに押し付けて立ち上がった。
「フーン…ま、陰ながら応援してるよ」
ようやく解放され執務室へと戻る。
何だかやけに疲れたな…
ため息が止まらず浮竹に一日中心配されてその日は終わった。
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