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魔界皇子と魅惑のナイトメア

第4章 教え


図書島を出て廊下を歩いていると、ヴァイオレットとフェンが玄関口に立っている。

「あらあ」

大きくヴァイオレットに手を振られ、無理やり口の端を上げた。

「そんなところで何をしているんですか?」
「フェンとばったり会ったから立ち話してたのよ」
「天月ちゃんも一緒に話そう」
「いえ、結構です」

フェンの言葉を一刀両断してその場を後にする。

「フェンあんた、嫌われてるわよ」
「あはは。そうみたいだね」

フェンは少しおどけたように笑ってみせた。

そんな2人の会話を無視して歩き続けていると、ポケットの中に忍ばせているスマホがバイブして思わず足を止めた。このスマホは仕事用で、どんなところにいても繋がることができるようにある仕掛けがされているのだ。
そっと廊下の柱に隠れてグループラインを開いた。


織田長信
今どこにいる?

織田秀信
心配です。このトークを見たらすぐ連絡ください。

織田長信
死んだなら死んだと言え。

織田秀信
死んだ人は死んだとは言えません。


という途中どうでもいいようなトークが送られており、その2人の微笑ましさに自然と笑みがこぼれ落ちる。


てか、その言い合いラインじゃなくて、直接本人に言えよ!


さっと文字を打ち込み送信した。


天月
てかお前ら、ウチの心配してねえだろ!


間を空く間も無く返信が届いた。


織田長信
遅い、待ちくたびれた。

織田秀信
お怪我はありませんか? どこか痛むところはありませんか? お腹は空いていませんか? 眠れていますか?

織田長信
お前今どこにいるんだ、いくら仕事が嫌だとはいえ疾走はやばいだろ。お前だけずるいぞ! 俺も入れろ。

織田秀信
いや、兄上がそれ一番言っちゃだめですから。

天月
よーし長信も来るか、秀信には内緒だぞ。

織田長信
ああ、あいつは煩いからな。

織田秀信
あのあなたたち、このトーク僕も見ているんですよ。馬鹿なんですか?

織田長信
あっやべ

織田長信
まあ冗談はこの程度にするとして……
お前は今どこにいる?

天月
今魔界Now、早く帰りたいNow

織田長信
……は。お前魔界って、アニメじゃあるまいし、なあ秀信

織田秀信
はい。冗談はやめてください。

天月
冗談じゃねえし、マジだし

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