第12章 Tシャツ裏事情
自室の桃色のカーテンの隙間から差し込む日差しが、顔に当たって少し眩しい。
目覚ましが鳴る前に起きてしまったようだ。カチコチと規則的な音をたてている時計に手を伸ばしてアラームを止めた。
爽やかな早朝、アラームがなる前に起きると何だかいつもよりスッキリと起きられている気がして気分が良い。
枕元に置いてあるスマホを手探りで探して手に取ると、画面を覗き込む。
新着通知は2件。研磨とクロちゃんだ。
昨日、自分の通う烏野高校と音駒高校とがGW最終日に練習試合をすることになったのだとメッセージを送ってみたのだ。
もちろん、2人とももう知っていたけれど。
-研磨-
に会えるの楽しみにしてる。
-クロちゃん-
宮城ってまだ寒みぃ?
早くに会いたい。
会いたいと、そう言ってくれる幼なじみ2人に、嬉しい気持ちになりながら、昨日寝てしまって返せなかった返事を2人に送る。
私も早く会いたいよ。
GW合宿まではあと少し。
まだ時間は早いけれど、制服へと袖を通す。
入学当初よりも少しだけれど、着られている感の減ったその制服姿の自分を見て思い出す。西谷先輩は、私の制服姿が似合っていると言ってくれたっけ。
西谷先輩と言えば、今日のお昼休憩に早速約束のミルクプリンを奢ってくれるらしい。
私のエゴだったにも関わらず、こんな約束をしてくれて、あまつさえその約束を果たそうとしてくれる真面目で優しい西谷先輩に、自然と心が温まる。
西谷先輩とお昼休憩を一緒にとるのは2回目だけれど、本当に楽しみだ。
身嗜みを整えて、月刊バリボー片手に階下へと下りる。
お母さんが朝ごはんを作ってくれている。
なんと今日の朝ごはんは、私の大好きなフレンチトーストだ。
早起きは三文の徳と言うけれど、本当みたいだ。
私は目の前にやってきたアツアツのフレンチトーストを頬張りながら、お母さんにお行儀が悪いと怒られながらも月刊バリボーに目を通して、いつもより沢山ある朝の時間を過ごしたのだった。