第9章 練習試合 対青葉城西戦
ついに、練習試合当日がやってきた。
緊張を解す手のツボも調べたし、はちみつレモンもしっかり作った。青葉城西をしっかり分析して記録しておく為にノートも購入済。
研磨とクロちゃんに貰ったヘアゴムで髪もしっかりいつもの位置で結んだし、烏野ジャージにも袖を通した。
これで準備は万端だ。
青葉城西高校へは、武田先生の運転するマイクロバスに乗って向かった。緊張がピークに達していた日向くんは、朝一番で顔を合わせた時昨日以上の顔色の悪さで皆を驚かせた。昨日の夜は試合の事を考えて全然寝られなかったそうだ。
緊張しすぎて体調の悪い日向くんが、田中先輩のジャージに吐いてしまうというアクシデントはあったものの、無事青葉城西高校に辿り着いた。
広い敷地に大きい校舎。
見たところ、体育館もいくつかあるようだ。
今回案内されたのは第3体育館。
『潔子先輩、青葉城西って凄く大きいですね。』
「そうね。ちゃん、迷子になるといけないから、1人で動いちゃだめよ。」
『ふふっ、潔子先輩、私方向音痴じゃないから大丈夫です。』
潔子先輩と並んで、武田先生と一緒に体育館へと向かう。
到着した体育館は、烏野高校のバレー部が使っている体育館よりも大きく立派だった。
コートも2面あるし、バレー部に所属している人数も烏野よりも大分多いようだった。
『さすが県内ベスト4の学校ですね。人数も多いです。』
「そうね。空気に飲まれないようにしないとね。」
私達に少し遅れて、烏野バレー部の面々も揃い、アップ出来次第早速練習試合が行われるようだった。
キョロキョロと辺りを見渡して日向くんの姿を探す。
けれど姿がどこにも見えない。
『澤村先輩、日向くんどこに行ったかわかりますか?』
「日向ならトイレに行ってるよ。」
トイレ。やっぱり緊張してお腹の調子まで悪いんだ。
「さん、日向の緊張解してやる方法何かない?」
『澤村先輩!私、緊張を解すツボを調べてきたんです。』
「おぉー!頼りになるなぁ。」
『あ、日向くんっ。』
体育館の入り口に、トイレから戻ってきたであろう日向くんの姿を見つけた。相変わらず凄い顔色に隈だ。
『日向くん、ちょっと手を貸してくれる?』
すぐに駆け寄って、日向くんが手を載せてくれるように、自分の両手を上に向けて前に差し出した。