第15章 練習試合 対音駒高校戦
光陰矢の如し、とはよく言ったもので。
まるで弓から放たれた矢のように素早く時は過ぎていく。放たれた矢が戻ることはないように、時間も勿論戻らない。
数日前に始まった合宿も今日で終わりだ。
確かに時間は戻らない。けれど、過ごして来た日々の中で身につけたものは、確かに体に染み付いているんだと見ていて思う。
そして、あっという間にやってきたGW最終日の今日。
ついに音駒高校との練習試合の日がやって来た。
今日は烏野総合運動会館の球技場で試合が行われるらしい。
ちなみに今日は、練習試合なので西谷先輩と田中先輩の言う通りちゃんと”高嶺之花”Tシャツを着てきた。
西谷先輩も田中先輩もすごく喜んでくれた。蛍と山口くんには笑われて、スガ先輩と潔子先輩には何故か頭を撫でられた。
最初は少し恥ずかしかったけど、着心地も良いし好きな色なので私の心は結構ウキウキだったりする。
会場に着くと、もう音駒高校のメンバーは到着していた。
見慣れた赤いジャージに頬が緩む。久しぶりに、皆がバレーしている所が見られるのだと思うと、やっぱりワクワクが止まらない。
潔子先輩と荷物を運んでいると、こちらに気づいたクロちゃんが手を振っている。潔子先輩を見ると、行ってきていいよと言ってくれたので、思わず嬉しくなってクロちゃんに駆け寄って抱きついた。
『っクロちゃんおはよー!』
「おわっ!だからちゃんっ。急に飛びついたら危ないって言ってんでしょー。ほら、ちょっとっ、荷物当たって痛いからっ。」
『でもほら、いつもクロちゃんが支えてくれるでしょ?』
「こっちはいつもヒヤヒヤなんですぅー。」
ワシワシといつものように頭を撫でられる。擽ったくて身をよじるけど、全然離してくれない。
クロちゃんとワイワイ騒いでいると、どんどん音駒メンバーが集まって来た。
「おはよ。」
『研磨おはよー!衛輔くんもおはよう!久しぶりだねっ。海くんも、虎くんも招平くんもおはよー!』
「おはよう。ちゃん久しぶりだなー!やっぱりちゃんのおはよ癒されるわ。」
衛輔くんに頭を撫でられる。クロちゃんと違って優しい!
大きい人ばかりに囲まれてるから、視線の近い衛輔くんには親近感。身長のことを気にしているみたいだから、衛輔くんには言えないけど。