第3章 これが日常
いつものように通学路を歩く。もちろん隣には誰もいない。…いや、いないんじゃなくて
必要ないだけ。
女子「おはよー」
女子「おはよー!昨日のテレビ見た?」
女子「見た見た!あの俳優ちょーかっこよかったよね!」
女子「私も思った!けど〇〇も良かったよねー!」
女子「分かるー!私もそう思ったんだ!やっぱ考える事一緒だねぇ♡」
くだらない。
本気でそう思ってんの?
自分の好きな物を好きと言わず、嫌いな物を好きという行為に一体何のメリットがあるのか。
実にくだらない。
女子「ちょ、ねぇ。ブス乃こっち見てるんだけど!」
女子「え、まじでー?話に入りたいのかなぁ」
女子「それ超迷惑なんだけどー。誰が入れるかっつーの!」
女子「だよねぇ!きゃははっ!」
くだらない。
あたしがどんな目でアンタらの事見てたか分からないわけ?可哀そうな目で見てるって気付いてないのも、おめでたい話だね。つか入りたくもないし。
ブス乃というのはあたしの事らしい。橙乃(とうの)だから、ブス乃。
さすがにあたしも自分の事を可愛いなんて思った事ないけど、少なくともアホ女たちよりはマシな自信もある。
そんな化粧なんかで造られた顔には負けるつもりないし。
てか、性格ブスに言われたくない。