第1章 約束
「置いていくもんか…」
回された腕にぎゅっと力が込められる。思いがけない月白の真摯な態度に、追いかけてすがりついたあたしの方が逆に驚かされてしまって。
「…不安になったのか?」
「え?どうして…」
「顔を見れば分かるよ」
何もかも見透かされているようで恥ずかしくなったが、あたしは正直に小さく呟いた。
「…少しだけ」
「大丈夫、みんないるんだ。俺も一人で無茶はしない」
「うん…」
腕を解くと、月白はあたしをまっすぐ見つめた。
「必ずお前と一緒に、この先の道を切り開いていく…約束するよ」
…よかった。月白は昔と変わらず傍にいてくれてた。
全て終わったら、その時は一緒に房の町に帰ろう。
「うん…約束だよ?」
end