第1章 四人だけの酒盛り
わたしは、才蔵さん、幸村様、佐助くんと
甲斐の山裾にあるという秘湯を目指して 山道を歩いていた。
信玄様の、たまには、四人でのんびりして来いというお計らいがあったからだ。
「!雪だぞ!!雪が積もったら雪合戦するぞ!」
「うん、佐助くん 、雪が積もったら雪合戦しようね」
さっきから、降り始めた雪に、佐助くんは、大喜びして、ぴょんぴょん飛び跳ねている。
「佐助、気をつけろよ、滑って転んでも助けぬぞ」
幸村様も楽しげに佐助くんを見て歩いている。
「先生!温泉には、俺と先生と幸村様の三人で入るんですよね?」
佐助くんが、才蔵さんの所に駆け寄って、嬉しそうに聞いている。
「多分ね」
と、才蔵さんは、佐助くんに言った。
「先生!多分じゃなくて、絶対ですよ!約束して下さい!」
「はいはい。幸村が、酔い潰れなければね」
「はい!先生」
佐助くんは、それだけ言うと、また、雪の中を嬉しそうに歩いている。
「才蔵、あの秘湯の地酒は美味いらしいぞ」
「幸村は、どこの酒でも美味いでしょ」
「何!才蔵!酒と言うものにも色々あってだな、、、、、」
「はいはい」
才蔵さんと幸村様の、いつも通りのやり取りも、微笑ましい。
(みんな楽しそうで嬉しいな)
わたしは、そう思うと改めて、信玄様の懐の深さに感謝するのだった。