第5章 Wデート大作戦
あのあと、どうやって自宅まで帰ったかは覚えてない。
赤葦は部活に参加したらしく、ゆっくり休んでくださいと連絡が入っていた。
「あっ、おはようございます!センパイ」
「おはよう、ナナちゃん。早いね」
「はい、京治くんに合わせたら早くなってしまったみたいで……」
「そっか」
「あの、センパイ……」
「ん?」
「あの、招待券貰ったんですけど、わたし、行かないので、良かったら……」
小さな声で話し、チケットを差し出す。
「へぇ、招待券?どこの?」
「……プールです」
「良いじゃない、赤葦と行かないの?
誘ったらきっと喜ぶよ?」
誘われて嫌な男なんて居ないでしょ。
ましてや赤葦なんだし。
「む、無理です!
だって、プールですよ?
水着ですよ?肌出すんですよ?」
顔を赤くして、涙目で訴えかける。
「赤葦に可愛いねって褒めて貰いたいと思わない?」
「……思います」
「なら、少しだけ勇気を出してみようよ。
ということで、私に譲らず赤葦を誘いなさい」
何言ってるんだろう。
ナナちゃんの水着なんて見たら、赤葦も男だから……。
「じゃ、じゃあっ、先輩も一緒に来てくれませんか?」
「え、私?
流石に2人のお邪魔は出来ないわよ」
「邪魔じゃないです!
わたし……デートってまだ緊張してどうして良いか分からないし、先輩が一緒なら頑張れそうな気がするんです。
ダメですか?」
「……分かった。
木兎も誘って行くから、一緒に行きましょう?」
「ありがとうございます!」