第1章 【 千空×お酒のちから。】
《 千空side 》
「ふへ、ふへへへ~♡」
クロムが慌ててた理由はコレか。
こりゃあやべぇな…
「オイ、海来。テメェどんだけ飲んだんだ?」
「んぇ、そんなに飲んでないもん!」
普段の海来からは考えられない口調で、俺でもどう扱えばいいか分かんねぇ。つか酒弱すぎだろ…。
「千空、海来はお前のことで悩んでいたみたいだぞ」
「あ?なんで……」
「なんで構ってくれないの!せんくーのばか!くそ!科学とわたしどっちが大切なんだよ!わぁぁぁん!」
俺が喋ろうとしたら馬鹿デカい声で遮られてしまった。
「う、うるせぇ……いいからとりあえず水飲め」
「ち……し」
「あ?聞こえねぇんだが」
今さっきデカい声で騒いでた奴とは思えないほど蚊の鳴くような声でぼそぼそと何かを言う海来。
「くちうつし!」
「は!?!」
「せ、千空!あとはお前らで楽しめ!」
クロムとコハクはそう言い残して顔を赤くしながら村の方に走っていった。
「はぁ……ったく、アイツら余計なことしやがって……」
「ねー、千空……おみず……」
アイツらがいなくなった途端、海来がグズグズし始めた。
「自分で飲め!」
「くちうつしじゃないと飲みたくない!」
「酒飲むとワガママ女になんのか、テメーは…」
これ以上言っても無駄だと判断し、俺は仕方なく口に水を含んだ。
「ん」
すると海来は待ってましたと言わんばかりに俺に抱きつき、
キスをしてきた。
「んっ…」
こくこくと口から水を飲んでいるように見えるが、水はほぼ俺の口から流れ落ち、俺の舌を探るように自ら舌を入れてきた。
当然だが、だいぶ酒臭い。
「ん、んん……ふぁ…ん…」
そしてゆっくり唇を話すと、トロンとした表情で見つめてくる。
「テメー、全然水飲んでねぇじゃねぇか…」
「千空のよだれいっぱいのんだからだいじょぶだよ…?」
「いや、ダメだろ…」
海来の体はさっきよりも真っ赤になっている。
さすがにこの俺も、恋人のこの姿を見て興奮しない訳がないので、俺自身が痛いほど屹立している。
さすがにここで始めるわけにも行かないので、海来の手を引き、ラボに移動する。
「…… 誘ったのはテメーだからな、責任取れよ」
「えへへ……」