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【Rー18】短編集つめあわせ

第1章 【 千空×お酒のちから。】



千空と付き合って半年。いや、正確に言えば3700年と半年。

今じゃもはや付き合ってるというか、ほぼ科学者の助手のような存在。

それもそうだ。

こんな非常時の石化した世界で、恋愛している余裕なんてない。

千空に石化を解いてもらって、また会えただけで十分なはずなのに、時間が経つにつれてわたしの心は満たされなくなっている。

どうしようもない気持ちに嫌気が差し、はぁ……と溜め息を吐きながら満月が輝く夜空を見上げた。


「海来、どうした。暗い顔をしているな」

「コハク……」

見兼ねたコハクがわたしの隣に腰を落とした。

「千空のことか?」

「うっ…」

「やはりそうか、千空を見てる時の顔と同じだったぞ」
コハクが鋭いのか、わたしが分かりやすいのか……
よく見てくれてるって事なんだけどね。

「恋人なら、恋人らしくするのが当然だと思うが」

「でも千空の事だから軽く流しそうだよう……」

「そうか?千空は海来と男性陣が話しているところを見ると、めっぽう嫉妬しているようだぞ」

「えっ……」

自分でも、ぶわぁぁっと顔が熱くなるのがわかる。

「ふふ、海来も分かりやすいな、可愛い奴め!」

「も、もう!からかわないでよ~!!」

でも、わたしが千空を誘うなんて柄じゃない。むしろ恥ずかしくて死ねる勢いだ。

千空、いつか惚れ薬作ってくれなかいなぁ……

「ん?お前ら、何してんだー?」

うーん、うーんと考え事をしていると、わたし達に気づいたクロムが駆け寄ってきた。
手には大きな壺を抱えている。

「な、なんでもないよ!てゆうかクロム、それは何?」

「ん?あぁ、これは村から持ってきた酒だ!」

クロムが壺の蓋を開けると、ツンとしたアルコールの香りが広がった。
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