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夢の続き【アイナナ】

第2章 楽と紡夢2


#4
お互い忙しく、仕事でもニアミスですれ違い、ラビチャだけで、連絡を取る日々が続いた。

残業おわり、一人帰宅する。
(最近バタバタで、全然ゆっくりできてないなあ…楽さんとも、仕事でも会えてないし)
気分転換に、街のコーヒーショップに入る。
席について、ふぅ、と一息つく。

楽さんにラビチャしようと、スマホを取り出したら、テーブルにチョコレートマフィンをコトンと置かれた。怪訝に思い、顔を見上げた。
「…?…あ、姉鷺さん!?」
ニヤリと微笑む、姉鷺さんがいた。
「なあに、そんなオバケでも、見たような顔しないでちょうだい、これ、オゴリ」
「あ、ありがとうございます。偶然ですね」
「ロケ終わりよ」
「ああ、今日、楽さんのドラマの撮影ですよね」
「…まあ、なんであなたが、楽の予定知ってるの?」
「あ、いや、そのですね…」
思わずギクリとして、言い訳を考える。
「ふふふ、冗談よ。この私が気づいてないとでも、思ってるの?わかってるわよ、とっくの前に、あなたと楽の事」
「姉鷺さん…申し訳ありません…大事な大事な、タレントさんなのに…」
深々と頭をさげ、謝罪した。怒鳴られても仕方ないと思った。
その瞬間、バチンとデコピンされる。
「え!?」
吃驚して、目を丸くして姉鷺さんを、みた。
「…ばかね。一途な恋を邪魔するほど、私は野暮じゃないわよ。みくびらないでちょうだい」
「姉鷺さん、でも…」
「ふふふ。あなたに渡したいものがあるから、このマフィン食べ終わったら、お店の裏の路地で待っててくれない?すぐ戻るから」
「は、はい」
「じゃあ、後で」
ウインクして、姉鷺さんが店を出た。

時間は終電ギリギリ。
(間に合うかな…お父さんには一応仕事ってラビチャしとこう)
チョコレートマフィンを、一口食べる。
甘くてほろ苦いビターチョコレートのマフィンだった。

それから急いで、路地裏に向かった。
キョロキョロと待ち合わせ場所で、姉鷺さんを探した。
「…紡!?」
後ろで、知った声が聞こえて、振りかえると楽さんが、驚いた表情でこちらを見ていた。
「が、楽さん…?えっと姉鷺さんは…?」
「あー…そういうことか…サンキュな、姉鷺」
「?」
「姉鷺に、感謝しないとな、さ、俺の車で送っていくから、乗れ紡」
「姉鷺さんの渡したいものって…もしかして」
「もしかしなくても、俺だろ」
ははっと、楽さんが笑った。
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