第8章 九条天夢(新人アイドル)
天のキスは、ほんとうに天使みたいにふわっと優しくて、一瞬で幸福な気持ちでいっぱいにさせてくれる。
唇を離すと、おでこをあわせて、至近距離で見つめ会う。
吸い込まれそうな、宝石みたいな瞳。
もう一度、深くキスをかわす。
それから、天は優しく抱きしめてくれた。
私も抱きしめ返す。心が和らぐ。
おもむろに、スッ…と天が立つ。
「どうしたの?」
ドアを開けると、ニヤニヤした八乙女楽と十龍之介がいた。
「「良かったなあ。天!!夢花ちゃん!」」
笑顔の二人が私達をハグで包み込む。
あはは、と思わず苦笑いしてしまう私達だった。