第17章 エンディングのその後は
寝た……。
うん、車の振動がすごく心地よくて。
そのまま目を閉じたのは、覚えてる。
覚えてる。
けど。
「………」
ぱっちりとあいた視界いっぱいに写ってきたのは、にっこりと笑う透の眩しすぎる笑顔、で。
ついでに目覚めた瞬間感じた心地よく頭を撫でてくれる掌も、透のもの。
「どーかした?」
状況を受け止められずにボーっとするあたしに、透は目の前で掌をひらひらと振ってみせた。
「ライちゃん?起きてる?」
「………起きてる」
「どーした?お前」
不審気に、一人用ソファーに座って読書していた斗真までもが、立ち上がりあたしが横になるソファーへと腰掛け。
額へと手を伸ばす。
「熱、じゃねぇよな」
「大丈夫?」
「…………うん」
なんだろう。
なんだか。
温度が、心地いい。
「來?」
もう少し、このまま。
「うん、なんでもない」
ソファーへと置かれたふたりの掌を引き寄せ、頬へと擦り寄せる。
「目が覚めてもひとりじゃないって、いいなぁ」
「………なんか、どーしちゃったのライちゃん」
「いつもの天の邪鬼どーしたよ、お前」
わかんない。
自分でも何言ってるのかわかんない。
けど。
だけど。
「幸せだなぁ、って」
思う。
「大好き」
好き、が。
こんなに心地いいなんて知らなかった。
愛されることが。
こんなに満ち足りてるなんて、知らなかった。
「大好きなの、透が。斗真が」
掌に擦り寄せて、目を閉じる。
暖かい温もりが、心地いい。
「……」
だけど一向にふたりからの反応がなくて。
ゆっくりと瞳を開けた。