第16章 契約、更新

「動かすぞ」


「や、っだ無理だってば」


「ライちゃん、こっち」



「ふぅ、んん」



また、後頭部を引き寄せられれば重なるのは唇で。
抗議する手段さえ、奪われた。



入ってくる感覚が、出ていく感覚が。
ゾワゾワする。
気持ち悪い。
痛い。

やだ。
やだ、こんなの。





「………ふ、んんんー」




なのに。




「………指、増やすぞ」




なんで？




なんでさっきよりも、違和感ないの。
痛く、ないの。
ぐちゅぐちゅゆってるこの音、何。


なんで？




「ライちゃん、すっげー締まる。痛くなくなった？」
「わ……っかんな」


わかんない、けど。
力が抜ける。
手の力、もう入んない。



「來」


ビクン、て。



斗真の声と同時に感じたおしりにあたる、もの。
咄嗟に身体が警戒体制に、入る。




「………いきなり、やだ」

「？」


「ゆっくり、入れてほし……」





「ライちゃん」





だってもう、ここまできてあたしに拒否権なんてあるわけないじゃん。
痛いのやだし。
嫌だけど！！


ふたりと同時に繋がれるのは、これしかない、から。



「ふたりと、一緒ならたぶん、平気」




ふたりに愛される覚悟、したんだもん。





「………挿入れるぞ、來」



「……っ」




「ライちゃん、肩、歯立てていいから」


「……っが、いい」


「？」


「キス、したぃ……っ、とーるっ」



そう、言葉にするとほんと同時に透の唇が重なって。
だけどさっきみたいに押さえつけるキス、じゃなくて。
優しく、甘いキス。



「ふ、………ぅ、ぅ、ぁああっ」




「ごめん、まだ先っぽだけ。少し動いていい？」



言葉の代わりにコクコクと頷くあたしに、透の手が伸びてきて。


「………辛い？」



そのままその親指は、涙を拭ってくれた。



「………平気。ごめん、あたしこそ」
「ライちゃんに無理させてんの、俺らだし」