第16章 契約、更新
「………」
「どーした?」
カチンコチンに固まって動けない体の横を、手慣れた動作で横切る俺様たち。
「ライちゃん?」
目の前のおっきなベッドにネクタイを緩めながら腰掛けて、さらに小首を傾げちゃう動作があまりにもかわいすぎて。
さらにドキドキが加速していく。
いや!
じゃ、なくて!!
「なんで?どこここ!!」
ぶんぶんと首を大きく振りかぶるあたしに。
「「ラブホテル」」
見事なまでに前と後ろから、同じ声が当たり前のようにはもった。
「………っ」
ハモる声までかっこよくて。
ああほんとあたし、どーしちゃったんだろう。
なんでこの人たち、今日はこんなにかっこいいの??
「………、し、ってるそのくらいっ」
「なんだ、来たことあった?」
後ろの冷蔵庫らしき場所からビール2本、と。
ウーロン茶を取り出しながら斗真。
「………っ」
「初めて?」
ニヤニヤしながらそう問う透も、透の隣に腰を下ろして缶ビールをあける斗真も。
絶対、わざとだ。
初めての相手が誰かなんて、自分たちが一番知ってるんだから。
「………っわ」
たぶん真っ赤になってその場に立ちすくむしかできないあたしを、どちらかが腕ごと引っ張った。
おかげで。
そのまま彼の腕の中へとダイブ、する。
「まぁ、初めてじゃなかったらとりあえずその相手、社会的には抹殺するくらいなら出来るけど」
「はは……、権力誇示しすぎでしょ斗真」
「………」
なんとなくわかってたけど。
やっぱりお金も権力もあるんだ、この人たち。
どんな親なわけ、いったい。
よく考えたら、あたしふたりのことなんにもしらないんだよね。
「ライちゃん」
両脇を抱えられて。
乗せられたのは透の膝の上で。
視線がほんの少しだけ、上になる。
「愛される覚悟、出来てるんだよね?」
「え」
「お前自分で言ったろ」
「ぃやでも、……ここで?」
「心配すんな、ここはそーゆー場所だ」
いやいやいや。
確かにそうだけど!!
自信満々に当たり前のこと堂々と言ってるだけなんだけど!
「………ぁ、のシャワー、先が、いい」