【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第11章 怪盗キッド
俺の言葉を最後に押し黙った目の前の青年を見つめて数秒。参ったと肩を竦めて盗んだレッドアイズを投げ寄越してきたので落とすことなく受け取る。
「まさかメガネの少年よりも先に正体を見破られるとは…誤算、でしたね」
『メガネの少年って、コナンのことか?』
「ええ。貴方も彼とお知り合いのようで。仲よさそうに話しているのを見てましたから」
『あー…まぁ、悪くはねえけど。っつーか、逃げなくていいのか?多分そろそろ…「キッドーッ!!!」…ほらな』
受け取ったレッドアイズを傷付けないようハンカチに包んでスーツの内ポケットに入れ、呑気に会話をしていて大丈夫なのかとそれほど離れていない距離から聞こえてきた中森警部等の声に喉を揺らし。
「…たしかに。…しかし、貴方は私を捕まえないのですか?てっきりその為に追いかけて来たのかと」
『?捕まえる気なんざ最初からねえよ。たんに怪盗とか名乗る奴に一度会ってみたかった、ただそれだけだ』
「……ふっ、貴方は変わった方ですね。…是非貴方のお名前をお聞きしたいのですが」
『蒼井悠』
「悠さん…素敵なお名前だ」
『ははは…そりゃどうも…(男に褒められてもな…)』
追われてる身のくせにやたらと余裕をかましている怪盗に呆れながらとりあえず自己紹介をし、どうせこちらが聞いても答えるわけもないので名前を問うのはやめておいた。
「さてと、さすがにそろそろ逃げなくては本当に捕まってしまいますね。…では私はこれで…ッ!?」
『…ほらみろ、言わんこっちゃねえ…』
前方と後方から聞こえてくる沢山の足音に逃げ場を失ってしまった怪盗キッドが必死に頭を働かせている様子にまたもや呆れ、仕方ないなとネクタイのピンに使われていた部品を素早く分解し、すぐ側の一室をピッキングで開ける。
そんな俺の行動に驚いているキッドを開け放った部屋に有無を言わせず押し込み窓から逃げろと短く告げて再び扉を閉めた。
「キッドーッ!って、君!!大丈夫か!?」
逃したことに気付かれないよう今まで眠らされていたと演技をした俺にまんまと騙され心配してきた中森警部には内心申し訳ないと謝り、怪盗キッドと運悪く鉢合わせしてしまって何かの薬品により眠らされたのだと答えた。