【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第11章 怪盗キッド
軽く膨れた腹に満足して二つのグラスを手に持ってボーイの青年に色々と助かったと感謝してから皆の元に戻り、遅かったなと言う零に美味い飯食ってたと答えればどこか拗ねた表情をする幼馴染に可笑しそうに笑みを溢しつつ持ってきた1つのグラスを渡してやる。
『ははっ、悪い。そう怒んなって。ほら、飲み物持ってきてやったぞ』
不満そうな顔は変わらないもののグラスを受け取ってくれたことにとりあえずホッとし、自分も同じようにグラスの中身を飲んでいると会場内に聞こえ始めた声に一気に静まり返る。
「皆さまお待たせしました!これより鈴木次郎吉様によりご挨拶があります」
「皆様お忙しいなかお越しくださり感謝する。今宵はなんと、あの怪盗キッドからか希少価値の高いダイヤを使用したレッドアイズを盗みにくると予告状が届いた。予告状によればおそらく日没と同時にきゃつが現れると予想されるが…当然簡単には取らせんッ!此処に居る皆様にはあのキザな怪盗を今夜こそ捕まえるその瞬間をお見せいたしましょう!」
このパーティーの主催者でもある鈴木次郎吉から怪盗キッドへの宣戦布告ともとれるスピーチに会場内の熱気は最高潮に達し、今か今かと彼が現れるだろう日没を心待ちにしている。
「す、すごい熱気だね…」
「そりゃあのキッド様がこの逃げ場のない所に盗みに来るのよ!?盛り上がらないわけないじゃない!」
蘭ちゃんの言葉に興奮気味に答える園子ちゃんに確かに今現在海の上を浮かんでいるこの豪華客船。
ただでさえ警察が厳重に警備しているその状況からレッドアイズを盗んで簡単に逃げられるとは到底思えない、のだが…コナンの話によると今まで何度もその危機的状況をかいくぐって盗んでいるというのだから油断はできないなとスピーチが終わってすぐに今回のメインであるレッドアイズがお披露されている光景を遠目に見つめる。
『…そういやお前はその怪盗に会ったことあんのか?』
「いえ、テレビで見たことはありますが実際に会ったことは…!?」
俺の問いかけに首を振る零を横目で見ていると突然会場内の電気が全て消えてしまい、何事だと騒ぎだす招待客や警備をしていた中森警部の声が聞こえるなか暗くなったおかげで感じる1つの気配にすぐさまその元へ移動し、暗闇も数秒もすれば問題なく目的の人物の腕を掴んだ。