【名探偵コナン】トリプルフェイスの幼馴染は最強?【BL】
第18章 黒羽快斗
「…あの…一体何を…?」
『ん?そのままじゃ菌が入っちまうだろ。だから…ほれ、腕出せ。水で洗うから』
「は、はい…っ……い、つー…ッ……」
少し歩いた先にある公園の中へと入って行く彼の行動が分からずにいたのだが手洗い場に到着したのと同時に告げられた事に漸く意図を理解し、言われた通りに腕を出して水にさらすと痛みに思わず声を漏らした。
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背後で盛大にこけた少年に手を差し伸べてやると上げられた顔を見た瞬間新一?と思わず出そうなった声をなんとか呑み込み、似てはいるが新一ではない目の前の少年の手を掴んで引っ張り上げてやると腕を擦りむいていたのか痛みに顔を歪めるのを見て近くに公園があるのを思い出す。
『痛いだろうが少し我慢しろ。……よし、これぐらいでいいか。後は…悪いな、絆創膏なんて物は持ってないんでコレで我慢してくれ』
「……え…!?ちょ、ハンカチ汚れるからいいですよ!!」
普段絆創膏といった物など持ち歩いているわけもないので代用だと一枚のハンカチを取り出し、そんな俺に慌てて首を振る少年に構わず傷ついた腕に躊躇なくハンカチを巻いてやる。
『ハンカチの一枚や二枚どってことねぇよ。それよりもし菌が入って化膿でもする方が大変だろ?だから気にするな』
「……っ…ありがとうございます…」
『ん、どういたしまして。……よし、コレでとりあえずはいいだろ。家に帰ったらちゃんと消毒しておけよ?これはあくまで応急処置だからな』
できるだけ傷に障らないよう気をつけてハンカチを巻いてから最後にキュッと結び、あくまで応急処置なのでしっかり消毒しておくように告げる俺に再度お礼を言う少年に笑みを浮かべることで答え、今やれることはしたのでそろそろ帰るかと背を向けかけると呼び止められ顔だけ振り返り。
「あ、あのッ!!!俺…黒羽快斗っていいます!…貴方の名前、聞いてもいいですか?」
『おう、俺は蒼井悠だ。もうこけたりしねえように気をつけろよ?それじゃあな』
また会う機会があるかは分からないが互いに自己紹介をして俺は公園を後にした。
「……蒼井……悠さん……」
そう小さな声で名を口にし、彼の姿が見えなくなるまで少年がその場を動くことはなかった。