第7章 好きな人には妥協できない恋
えむの人、じゃないと⋯♡なんて!なんて!!
*
「ふっはっはっはっ!不思議ちゃんやったわけやねぇ〜」
「笑い事っちゃうでマルちゃん!Sって!」
「そもそもなんでそんな八子ちゃん?が気になんの?」
「あかんマル聞くな!」「ふえ?」「あーんもう!亮ちゃんが語り出すと長いんやからぁ!」
「すばるくん章ちゃんうるさい。マルちゃんあんなぁ〜♡⋯」
「ある日亮が弁当忘れて行った購買でラス1のからマヨキムチサンドを譲ってくれた上に、限定8個のイベリコ豚やきそばドッグをくれたらしいわ」
「すばるくんなんでゆうの!?いろいろ端折っとるやんそれ!」
「こんなん3行で済むわ!手が触れただの見つめあっただのの下りはいらんやろ」
「手がぱぁーーん!」
「ごめんマルちゃん意味わからん。でね、前は僕と渋やんが20分この馴れ初め聞かされてね⋯」
みんなが言うには、もう俺が諦めてMになるしかないと。
マルちゃんなんか「明日からMのレクチャーや!」なんて張り切っとるけど、なんなんそれ??
踏まれんの?痛がんの?俺、耐えれる?
*
一晩考えてみても、やっぱり行き着く答えは同じとこ。八子ちゃんと付き合うためには?結局 俺が折れるしかないん?俺が変わらなあかん?
なら、それしかないなら、
今まで色んな女に求められてきたこのS気質
一世一代の恋の障害になるならば!咲かせてみせようMの華!!!
「八子ちゃん!俺のこと好きってゆってくれたやんね!あれ、どこが好きなん??」
「⋯私に断られた時の、しゅんとした顔とか⋯さみしげな顔とか⋯涙でうるうるの顔⋯です♡ニシキド先輩の泣いた顔とか、見たいなぁ♡」
すらすら、すらすら、俺への愛の言葉とも言う暴言を、そりゃあもう嬉しそうに話してくれた。
「くーー!!筋金入りの えす!きっと前世も えす!どえす!あかんやっぱり喜べやん!」
「あ♡ニシキド先輩、その顔もっと♡」
いつか!いつか!いつかいつかいつか!
錦戸先輩が欲しいんです♡って言わす!
むしろ泣かす!鳴かす!
「ニシキド先輩が早くえむになりますように♡」
可愛い声で可愛い顔で可愛い仕草で俺を惑わすSな彼女。この勝負、受けて立とやないか!俺は負けへん!男やぞ!!
でもその可愛い顔、もっかいだけ⋯♡
end.