第11章 【番外】天使の寝顔ご用心(芥川)
めいこ「芥川せんぱぁーい」
レギュラー部室に置いてある、ヒョウ柄のソファー(跡部の趣味)で爆睡している芥川に控えめに声をかけた。
テニスコートに姿が見えなかったので、めいこが探しに来たのだ。
めいこ「起きてくださーい、休憩終わりましたよー」
隣に立って顔を覗き込むが、返事の代わりにグガーッ!というイビキが返ってきた。
めいこ「もぉー」
いい夢でも見ているのだろうか、今度はへにゃりと笑っている。
こうみると天使の寝顔ってやつだわー。
かわいい。
なんか怒る気にもならん。
しかし起きてもらわねばと、芥川の足元に腰掛けると、今度は肩を揺さぶって叫んでみた。
めいこ「おきゃくさーん!しゅーてんですよぉおお!ハハッ!」
一度友達が寝ている時に言ってみたかったセリフだったので、後半ついつい笑ってしまった。
芥川「うーん」
頭をポリポリとかきながら、ゆっくりと起き上がる芥川。
うつろな目のままめいこをみると、ニヤリと笑った。
あれ?なんかいつもの感じじゃない
と思ったときにはすでに親指を口に突っ込まれ、その勢いのまま後ろのソファに倒されていた。
めいこ「ふ?!」
芥川「しゃぶって」
めいこ「?!」
驚きと意味の分からなさに目が点になる。
食べ物の夢でも見ているのだろうか。
舌なめずりをした芥川は、目が座っている。
やばいこれ寝ぼけてんの?!
危険を感じて逃げようと腕を掴んだが、口の中にある親指を乱暴に動かされ、グチャグチュと音が響いただけだった。
恥ずかしさで変になりそうだ。
めいこ「や、ひぇんぱっ..!」
親指の腹が、今度は上顎をなぞる。
その途端、口の中がゾワゾワとしてきた。
ナニコレナニコレー!おたすけぇえ!
悶えためいこは、思わず芥川の腕をギュッと握ってしまった。
口は力が抜けて上手く叫べない。
めいこ「へあっ」
何度かグチュグチュと指を動かされると、突然パッと口から離れ、芥川は仰向けに倒れた。
芥川「クカーッ」
めいこ「ハァッハァッ...マジか」
誰ださっき天使の寝顔とか言ったやつ!どこだ!
口元をグイッとぬぐうと、ヨロヨロと部室を後にした。