第1章 脳天気マネージャー(跡部)
7月。
もう直ぐ夏休みだというのに梅雨はまだ開けず、天気はコロコロかわり、予報もあてにならない。
野外部活の学生たちが頭を悩ませる日が続いた。
ここ、氷帝学園もその内の1校であり、テニス部部長の跡部は今日の雲行きを気にしていた。
めいこ「うわーすごい入道雲!夏って感じ!」
しかしそこに1人、今日の洗濯当番になった脳天気なマネージャーが部室窓から空をみていた。
ついさっきまで朝からずっと曇りだったのだ。
久しぶりにめっちゃ良い天気じゃん!よっし、ついでに溜まってた他の洗濯もするかー!
白の半袖Tシャツを肩までまくると、はりきって部室内のものを大きい籠をかかえながら回収する。
しかしハタと動きを止めて、近くでジャージに着替えていたもう1人のマネージャーに確認する。
めいこの女子友達でもある。
めいこ「ねぇ、今日って雨降る?」
ゆゆか「あー降るけど所によりだって。でも夜の8時くらいって天気予報言ってたからだいじょぶじゃね?」
めいこ「そだね!じゃージャンジャン回しちゃうわ!ぐふふー♪昨日買ったオニューの洗剤と柔軟剤を使うときね」
ゆゆか「ははは!主婦かよ」
めいこ「やー聞いてよ聞いてよ昨日さー!」
ゆゆか「それ今聞かなきゃ駄目なやつ?そろそろ集合時間なんだけど」
めいこ「だいじょぶ短く話す!昨日帰りスーパー寄ったら洗剤コーナで忍足先輩と向日先輩がデッカイボトル持ちながら匂いと効能ですげー悩んでたの!かわいくない?!」
ゆゆか「うははっ」
めいこ「忍足先輩なんか、これが一番レギュラーの匂いっぽいやろ。つってて」
ゆゆか「何だよレギュラーの匂いっぽいってー。あとモノマネやめろうけるっ」
めいこ「向日先輩は、ばっかお前匂いは2の次だよ!こっちは24時間防臭なんだぜ?!つってモメてた」
ゆゆか「どうでもいー!」
めいこ「しょうがないので私が割って入ってって洗剤を向日先輩が選んで柔軟剤を忍足先輩に選んでもらった究極の洗剤コンビですジャーン!」
得意げに洗剤を掲げた。
ゆゆか「わかったわかった後でゆっくり聞いてやるからもう行くぞ」
めいこ「あいっ!サーセン!いってらっさいまし!」