第29章 藪をつついて蛇を出す
サヘルくんは、はあはあと荒く息をつき蕩けたように耽溺する。
「は……あ、紗都せんせい、紗都せんせい……」
少し長めの髪が汗で乱れ、焦点の定まらない円な瞳はあらぬ方を見つめている。
わたしはサヘルくんの乱れた髪をそっと柔らかく掻き撫でる。
濡れた睫毛が持ち上がり、大きな目がわたしをうっとりと見る。
通った細い鼻筋。
ぷにぷにした柔らかそうな唇が半開きで、可愛らしい。
絶頂の快楽で緩んだ隙まみれな表情が色っぽい。
「……頑張ってくれたのは嬉しいんですけど、本当にそのままで良いですよ?」
「え……」
「だって、そしたら……こういうことも出来ないじゃないですか」
わたしはふふっと笑う。
サヘルくんはぞくりと目元を震わせる。
「はい……」
わたしに同調するように、恍惚とした笑みを浮かべた。